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【歯科用CT複合機】iCAT「RevoluX」についてメーカーにヒアリングしてみました

連載中の「2015年版 歯科用CT複合機スペック比較」。2016年に入ってしまいましたが「ヒアリング編」第2回は、iCATのパノラマ・CT(+セファロ)複合機「ReVoluX」の機能・仕様を、メーカーへの聞き取り調査結果と共に詳しく解説します。カタログやHPに書かれていない情報もあるので、検討中の先生はお見逃しなく。

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QRmaster-H/Revo

© iCAT.
 

連載記事2015年版 歯科用CT複合機スペック比較」
「ヒアリング編」ではメーカーへの聞き取り調査結果とともに、歯科用CT複合機のスペックを個別に紹介しています。
 

今回はiCATCT・パノラマ・セファロ複合機「RevoluX」について、機能と仕様を解説します。
 

まだまだリクエストを受け付けておりますので、ご希望がございましたら下部コメント欄にご記入ください(ポジデン会員のみ)。
 

執筆にあたり、株式会社アイキャット様に情報と資料をご提供いただきました。丁寧にご対応下さいました広報担当のY様に、この場を借りてお礼申し上げます。
 
 
 

RevoluX(レボルクス)とは



© iCAT.

 

名称 RevoluX
定価 ¥14,000,000
撮影姿勢 立位/座位(チェア分離)
X線照射方式 連続照射
スキャン範囲 360度 フルスキャン
FOV Φ8cm×H8.5cm Φ12cm×H8.5cm
(オフセットスキャン機)
ボクセルサイズ 0.16mm 0.183mm
濃度階調度 14bit(16,384階調)
空間分解能(MTF10%) 1.5lp/mm 以上(0.16mmボクセル時)
撮影時間 CT:19秒/パノラマ:17.8秒/セファロ:0.9秒
被曝線量の目安 0.126mSv
拡張性 セファロオプション(+¥2,500,000)

 

アイキャットの「RevoluX」は2012年8月に発売された歯科用CT・パノラマ複合機です(オプションでセファロを追加可能)。
 

本機種には同社が開発したCT画像再構成ソフト「GIDORA」が搭載されており、「強力な金属アーチファクト除去」「臨床的骨質診断が可能なCT値出力」が特徴。高画質でコストパフォーマンスの高い機種です。定価は1400万円ですが、決算キャンペーン等の割引もありますので、公式ホームページFacebookもお見逃しなく。
 

なお株式会社アイキャットは、大阪大学歯学部の研究結果をもとに2003年に設立された大学発ベンチャー。同大学の歯科医(現アイキャットCTO)が開発した先進的な画像診断機器や手術支援システムは臨床の現場でも高評を得ているようです。中でも、シミュレーションからガイドサージェリーまでを包括するインプラント手術支援システム「Landmark System」は業界トップシェアを獲得しています。
 
 
 

RevoluXのFOVと画質


 
© iCAT.
 

  FOV ボクセルサイズ
ノーマルスキャン Φ8cm×H8.5cm 0.16mm
(オフセットスキャン) Φ12cm×H8.5cm 0.183mm

 

RevoluXのFOVとボクセルサイズは上表のように対応しています。ノーマルスキャン(FOV 8cm)では、水平埋伏歯までは撮影範囲に入りません。オプションのオフセットスキャン(FOV 12cm)では、顎関節までは入らないものの、左右1~8番まで余裕をもって収めることができます。
 

なおRecoluXはノーマルスキャンとオフセットを撮影時に切り替えることはできません。導入時にノーマルスキャンの機種か、オフセットスキャンの機種を選択します。
 

>>オフセットスキャンについて:「2015年版歯科用CT複合機スペック比較(前編)
 
 

FOVを拡張する微小角再構成(ノーマルスキャン機のみ)


 
© iCAT.
  

RevoluXは「微小角再構成」によって、Φ8cmのノーマルスキャンで得たデータから、+2cm遠心にFOVを拡張して画像を構成することができます。ノーマルスキャン画像では8番がほぼ写っていませんが(画像上:a)、FOVを拡張することで8番の全体を収めることができています(画像下:b)。
 

拡張した+2cm部分については画質が劣化しますが、埋伏歯の位置関係等の診断には十分な画像が得られるとのこと。なお微小角再構成」はノーマルスキャン機のみ対応。オフセットスキャン機では使用できません
 

なお、オフセットスキャン機は12cmのFOVを得られる代わりに、ノーマルスキャンに比べて全体的に画質が劣ります。RevoluXの性能を最大限活かすには「高画質+微小角再構成」のノーマルスキャンの機種が良さそうです。ちなみにRevoluXを導入される先生のほとんどが、ノーマルスキャン機を選択されるとのことでした。
 

微小角再構成の詳細について:「2015年版歯科用CT複合機スペック比較(前編)」 
 
  

RevoluXの画質は…?


 
© iCAT.
 

画質については、ノーマルスキャンで1.5lp/mm以上(MTF10%)の空間分解能があります。カタログ数値上では、他にラインペアの値がより大きい機種もありますが、臨床で根管や歯槽骨がはっきりと見える画質を確保できているので、インプラントだけでなくエンドやペリオでも活用できるとのことでした。上の画像でも根管までクリアに撮影できていることが分かります。
 

また、CT再構成ソフト「GIDORA」後述)による強力な金属アーチファクト除去機能CT値に基づく濃淡表現によって臨床的な骨質診断ができるほか、骨・粘膜・空気層が判別できる画像を得ることが出来ます。
 

>> ラインペア(lp/mm)とMTFについて:「2015年版 CT複合機スペック比較(前編)」
 
 


 

上記はアイキャットのYoutube公式チャンネルで公開されている、歯科用CTの画像比較動画です。機種の名称は伏せられていますが、機種によって画質やアーチファクトの量に大きな差があることがよく分かります。カタログ数値だけでは「画像の見え方」までは分からないので、こうして実際に撮影した画像で比較する事が大切です。
  
 
 

RevoluXのパノラマ・セファロ撮影


 
© iCAT.

 

パノラマ撮影を行う「パノラマモード」はCTと同一のセンサーを用いるので、センサーのカセッテ交換は不要です。デジタルパノラマのアーム回転、FPDの配置や管球の照射角度などを忠実に再現することで、クリアなパノラマ画像を実現しています。
 
 


  
© iCAT.
 

セファロはオプションで用意されており、導入後の後付けも可能。0.9秒で撮影できるワンショットセファロなので、患者さんのモーションアーチファクトの少ないクリアな画像が低線量で得られます。
 

パノラマ・セファロともに、「軟組織もよく見える」と画質も好評のようです。
 
 
 

RevoluXの被曝線量について

RevoluXの被曝量の目安はCT撮影1回で0.126mSv。一般的に言われる歯科用CT撮影1回の値(0.1mSv)とほぼ同じです。高画質モードなど線量が増えるような設定もないので、臨床でも概ねこの数値以内になるのではないでしょうか。
 

被爆を抑える短時間撮影や低線量モードなどはありませんが、FOV高8.5cmのうち「上顎のみ」「下顎のみ」の絞り込み(コリメーション)ができるので(セファロ無しモデルのみ)、不要な被曝を避ける意味で積極的に活用したいです。
 

また、CT撮影の位置を決めるための目印として2D撮影を行う機能(スカウト撮影)もあるので、位置づけの失敗による撮り直しも避けられそうです。なお、撮影ポジションはバイトチップを噛む形式なので非常に容易です。
 

>> 被曝線量についてはこちら:「2015年版 CT複合機スペック比較(中編)」
>> X線コリメーションについてはこちら:「2015年版 CT複合機スペック比較(中編)」
 
 
 

RevoluXの付属ソフトについて


 
© iCAT.
 

RevoluXにはCT再構成ソフト「GIDORA」が標準で付属します。強力な「金属アーチファクト除去」と臨床的な骨質診断が可能な「CT値出力」が評価され、2011年に「中小企業優秀新技術・新製品賞」優秀賞を受賞したソフトです。
 

RevoluXの他、同社より販売されているGENDEX(GBGX-500)と、KaVo社の3D eXamおよび3D eXam iに対応していますが、標準では付属しないようです(オプション販売)。
 

GIDORAの金属アーチファクト除去機能


 

GIDORAの金属アーチファクト除去機能は、X線の投影データ(再構成前の生データ)から金属の形状を認識する独自のアルゴリズムを採用しており、他社に抜きん出た除去性能を誇ります。「金属アーチファクトで見えなかったものが診えるようになった」とかなり評判の様子。実際の患者さんも口腔内に金属が入っているケースが多いので、この機能を購入の決め手にした先生も数多いようです。
 

>> 金属アーチファクトについてはこちら:「2015年版歯科用CT複合機スペック比較(中編)」
 
 

GIDORAのCT値出力機能

 
 

GIDORAのCT値出力は精度が高く、医科用CTと同じように空気を真っ黒(-1000HU)に表現できるため、軟組織と空気の区別も明確で分かりやすいです。また白黒のCT画像にMischの分類などで色付ができるので、視覚的に硬い骨/軟い骨を区別することが可能。インプラントで骨の硬さを事前に評価したい場合などに有効です。
 

>> CT値出力についてはこちら:「2015年版歯科用CT複合機スペック比較(中編)」
 
 

インプラントシミュレーション

 
© iCAT.
 

また、インプラントシミュレーションソフト「LANDmarker Direct」も付属します。 インプラント臨床医が考案したさまざまな機能が盛り込まれており、診断やシミュレーションはもちろん、患者さんへの説明にも使いやすいと評判です。
 


 

さらに、シミュレーションデータを元にアイキャット社にインプラント埋入用のガイド(サージカルガイド)や顎模型をオーダーすることもできます。専任の歯科技工士が調整や品質管理を行うので、十分な品質が期待できます。
 

最近はインプラント治療の精度や安全性の向上、治療期間を短縮する目的で、ガイドサージェリー(ガイデッドサージェリー)の導入も進んでいますので、CT撮影・シミュレーション・ガイド作成まで包括的にサポートできるのはアイキャットの強みと言えます。
 

RevoluXの販売・サポート拠点


 
© iCAT.
 

サポート拠点は全国42箇所。アイキャットは比較的新しい会社ですが、これだけの拠点数は歯科業界の中でも大手クラス。また、インターネット経由でパソコンの画面を共有し、操作を「遠隔サポート」するカスタマーサポート体制もあります。
 
 
 

RevoluXの総評

金属アーチファクト除去機能に優れる
CT値の計測・表示が可能
CT撮影・シミュレーション・ガイドサージェリーまで包括的なサポート
 実質的にはFOVがΦ8cmのみ…でも微小角再構成(+2cm)で水平埋伏歯も診断可能
小児向けの(短時間・低線量)モードは非搭載
 

強力な金属アーチファクト除去機能がある為、口腔内に金属の補綴物が多いケースでは特に有効。またCT値の出力機能を備えており、総合的なコストパフォーマンスが優れていると言えます。また、CT撮影だけでなく付帯サービスも特徴的ですので、診療の幅が広がりそうです。
 
 

資料請求・お問い合わせ

 (株式会社アイキャットのホームページ
 
 

EOF

 2016年2月25日 10時39分

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