歯科医院もビジネスですから、経営をして「利益」を出さなければなりません。しかし、医療機関における「利益」とは、患者さんをだましたり、安
さで勝負したり、派手な広告を打ったりして手に入れられるものではありません。一時的には儲かったとしても、いつか必ずその本性が患者さんに伝わり、そし
て、自分自身も医師としての罪悪感と苦しみを味わいながら、やがては衰退していくのです。
医療機関における「利益」とは、「患者さんに健康を与える」ことで得られるものです。たくさんの患者さんでにぎわっている医院の共通点は、「真に患者さんのことを考えている医院」です。そうした医院に一度訪れると、患者さんはファンになりその医院から離れらなくなります。
「患者さんが減って大変だ」と悩んでいる先生は、一度考えてみてください。もし過去に来院した患者さんのすべてが、今でも先生のところに通い続けていると
したら…。だとすれば、今頃医院は患者さんであふれかえっているはずです。苦しいからといって、治療費を安くし、患者さんにうそをつき、広告にお金をかけ
ても、患者さんが満足して「固定患者」にならない限り、結局は何も変わりません。
繰り返しますが、たくさんの患者さんでにぎわっている医院は、「常に患者さんのことを考え続けられる医院」です。しかし、それは決して医院が「サービス業化」することではありません。サービスの語源は「slave」すなわち、「奴隷」といわれています。医院が高慢な態度をとるのも間違いですが、かといって、奴隷のように主従関係になってしまっても、患者さんにとっていい治療を施すことはできません。そこに必要なのはどちらが上でもなく「対等な関係」です。対等だからこそ、そこに初めて「信頼関係」が生まれるのです。すなわちこれが「ホスピタリティ」と呼ばれるものであり、いうまでもなく「ホスピタル」の語源でもあります。
では「真に患者さんのことを考えている医院」とはどんな医院でしょうか?それは、患者さんにわかりやすく口腔内の情報を伝え、その結果、患者さん自らが治療やメンテナンスの必要性に対して適切な判断ができるようにしてあげられる医院のことです。患者さんの口腔内の将来にとって、これほど大切なことはありません。
もちろん、「患者さんのため」という意味では、ドクターやスタッフの応対や接遇が優れていることも大切です。しかしそれはすべて、患者さんが「本当に自分
にとって必要なもの」を見極めるための情報を正しく理解してもらうためにあります。もっと具体的にいえば、「保険診療と自由診療の違い」と「メンテナンス
の大切さ」を理解してもらい、患者さん自身が自分の考えにあった正しい選択をできるように促してあげられることです。
物事がしっかり伝わるかどうかは「どう説明するか」×「誰が説明するか」で決まります。つまり、どんなにすばらしい説明でも、そもそも説明する人物が信頼に足らないようでは、その話はまったく伝わりません。つまり、まず医院がすべきことは、とにかくお互いが「対等な立場での信頼関係」を築けることが最優先。そして、人と人とが信頼関係を作るには、杓子定規な説明ではなく、まずは、心のある「コミュニケーション」が必要なのはいうまでもありません。
このように、本当に患者さんに良い治療を受けていただき、しっかりメンテナンスに応じていただこうと思うのであれば、まずは医院が信頼関係を得るためのコミュニケーションを積極的に図らなければなりません。そして、患者さんでにぎわっている医院は、間違いないなく、そうしたコミュニケーションが活発に行われているのです。
私たちはそうした患者さんとのコミュニケーションを重視する医院を「コミュニケーション歯科」と呼び、このデンタルーペ内でも高く評価するようにしています。患者さんの口腔内の状態を常に最良の状態に維持するためにも、そして、歯科医院がこの先10年、20年と安定して経営していくためにも、多くの歯科が「コミュニケーション歯科」となり、信頼関係に基づいた医院運営をすることが、患者さんと歯科医院の双方にとってメリットのある「唯一の手段」だと私たちは強く信じています。
私たちはこのデンタルーペを通して、そうした「コミュニケーション歯科」の存在価値を高めると同時に、多くの歯科医院の皆さんが「コミュニケーション」の
大切さに気づくことで、歯科業界全体を変えていければと考えています。さらに私たちは、個々の歯科医院が「コミュニケーション歯科」に生まれ変わるための
さまざまな具体的な支援活動を行っています。
もし「コミュニケーション歯科」を目指したいと思われる先生は、ぜひ一度私たちの活動に触れていただければ幸いです。特に歯科医院向けのWEBマガジン「ポジデン.com」では、私たちのノウハウや業界の様々な情報を無料でお届けしていますので、ぜひご登録いただければ幸いです。