2012年12月に安倍首相が打ち出した経済政策、「アベノミクス」。
デフレからの脱却や、日本経済の再生を目指しています。現状、雇用は改善されているものの、まだ「アベノミクス効果」を実感しているという人は少ないと言われています。
では、歯科医院ではどうか?そこで、現在開催中のベーシックセミナーにご参加いただいた139名の先生方にアンケート調査を実施してみました。
まずはレセプト枚数から詳しく見てみましょう。
増えたと答えた医院が半数以上の54%。一方で減少した医院も2割以上あります。
続いて自費売上についてです。
レセプト同様に、自費については増加が3割。減少が1割となっています。ただ、未回答が27%あるのでこの分を分母から差し引くと、4割以上の医院で自費が増加。逆に2割近くがダウンという結果になります。およそさきほどのレセプト枚数の増減結果と同じ結果といえます。
これらから言えることは、増加する医院が多数ある一方で、波に乗れず減少した医院も少なからずあるということ。結果的にいえば「二極化」つまり、業績のいい医院とそうでない医院との格差がさらに広がった可能性があります。
また、少し気になるのが自費の増減について「未回答」が27%もあることです。レセプトは保険請求で必ず把握する数字なのでどの医院も答えられます。しかし、自費売上も歯科経営においては非常に重要な指標。その数字を把握できていない医院がこれだけあるのは、ちょっと意外でした。
続いて、消費税の増税に伴う自費の価格改定についてです。
増税に伴い、なんらかの形で価格アップした医院がおよそ6割。しかし、金属価格の高騰にもかかわらず、増税分以上の値上げをした医院は1割程度となっています。一方値下げをした医院は1%しかありません。据え置きが19%もありますが、おそらく売上が1,000万円以下のため消費税を納税していないという医院が多く含まれていると想像されます。
弊社ベーシックセミナーのテーマが「人とコミュニケーションによる差別化」というのもあり、接遇をしっかりしようという医院が多数あります。また広告宣伝を選択した医院も4割ほどあり、医療機関とはいえインターネットを中心とした広告制限のゆるい分野への広告宣伝活動を積極化したいと考える医院が多数あるようです。
アベノミクスにより数字上の景気は良くなっています。しかし、「庶民には景気回復の実感がない」あるいは「金持ちがより金持ちになっただけ」と言われることもしばしば。今回のアンケートを見ていると、どうやら同じような状況が「歯科業界内」でも起きているようにみえます。
歯科の二極化が言われて久しいですが、好景気のときにしっかりと付加価値の高い治療=自由診療を提案できる医院がより業績をアップさせるのかもしれません。いずれにせよ、提案力は患者さんとの信頼関係の深さに比例します。そして人が信頼関係を深める一番確実な手段は「コミュニケーション」をはかることです。
医療は一定の需要が必ず存在します。だからこそ、信頼関係を重視した運営をしていれば、どんな景気でもまったく恐れることはありません。そして、景気の良いときには確実に伸びることができる。結局、どんな場合においても患者さんとの信頼関係が医院経営の核になることに変わりはない、ということですね。