
先月、8月19日、TBS系の番組「情熱大陸」で石井光太さんというノンフィクション作家を取り上げていました。はじめは何気なく見たていたんですが、番組中盤で紹介された「遺体」というこの方の著書に、思わず目がとまりました。
この本は、震災直後に「遺体」に関わった人たちへのインタビューをまとめたものです。遺体を運搬した方、遺体を捜し続けた消防団の方、そして、遺体の「検案」をした医師と「検歯」を行った歯科医師、歯科助手の現場での苦労、苦悩、葛藤などがリアルに描かれています。
人の体を扱う者として、特別な資格を与えられたドクター。こうした災害時の苦労を知ると、改めてドクターという職業が、ただの「商売人」ではなく、多くの人々にとって特別な役割を与えられた存在なんだなと感じさせられます。
自分の家が流されたにもかかわらず、必死で焼死体の歯型をとるドクター。遺体安置所で多くの家族が悲痛の声をあげる中、それでも黙々とアシストを続ける助手さん。そして、「こんなことをしていて意味があるのだろうか…」という葛藤。
今後皆さんが同じ状況に遭遇する可能性は極めて低いかもしれませんが、日ごろ同じ歯科に携わる者の役割の一つとして、ぜひ皆さんにも目を通していただければと思います。
2012年9月11日 13時36分